歯科衛生士の仕事の中には歯周病管理における「禁煙指導」があります。ですが、禁煙指導は患者さんの長年の習慣を変える非常に難しいものです。特に、やる気のない患者さんへの禁煙指導は、指導をするこちら側も憂鬱になってしまうもの。そんな患者さんに対する禁煙指導の進め方についてご紹介していきます。
禁煙せずして歯周病は完治せず
歯周病のリスクファクターである「喫煙」中程度~重度歯周病患者で喫煙歴があるケースでは、禁煙が歯周病治療を行う上で非常に重要なポイントとなってきます。特に、喫煙歴が長い、量が多いという人では、プラークコントロールに問題がなくても、喫煙が影響して歯周病が進行しているケースもあります。喫煙者で、歯周病を完全に治したい!という場合には禁煙は避けては通れない道なのです。
禁煙指導の基本を思い出そう
それでも、禁煙はする気がないという患者さんもたくさんいます。そのような患者さんに対して「禁煙禁煙!」と口うるさく言うのは、あまり良い指導方法とは言えません。歯科衛生士養成学校の授業でも禁煙指導に関しては取り上げられ、国家試験にも毎年出題されています。授業で習った禁煙指導を覚えていますか?禁煙指導は「無理強いしない」ことが大切であり、患者さんのモチベーションにあった禁煙指導を行っていくことが重要であるとされています。
やる気のない患者さんへの禁煙指導③ステップ
- ステップ①たばこと歯周病の関係について
- ・たばこと歯周病の関係についてお話しましょう
- ・歯周病が進行するとどのような問題があるのかも説明しましょう
- ステップ②禁煙をすることのメリット
- ・禁煙をするとどのようなメリットがあるのかをお話ししましょう
- ・後ろ向きな話題ではなく、前向きな話題としてお話ししましょう
- ・あえて喫煙の害については触れないようにしましょう
- ステップ③禁煙方法の紹介
(患者さんが少し禁煙に興味を持ってくれたかな?と感じたら、禁煙方法をいくつか紹介しましょう。) - ・減煙から始める方法、電子たばこ
- ・禁煙外来での禁煙方法
- ・「こういう方法で辞められたという人がいますよ~」と言う紹介程度
メンテナンスの重要性を伝えよう
それでも、禁煙しない!と言う人には、無理に禁煙指導をする必要はありません。無理な禁煙指導は、歯科医院に行くこと自体を憂鬱にさせてしまう原因になります。絶対に禁煙はしないという人には、喫煙による歯周組織へのリスクをしっかりと説明し、定期メンテナンスの重要性、自宅でのセルフケアの重要性を伝えましょう。禁煙はしなくても、必ず定期検診には足を運んでいただけるようにできると良いですね。
やる気のない患者さんへの禁煙指導は非常に難しいものです。ですが、歯科衛生士として歯周病管理をする上では避けては通れないもの。禁煙指導にお悩みの方はぜひ上記を参考にしてみてください。